物語の概要を述べると、「アラサー男子(非モテ)の黒瀬くんと女子中学生(しかもちょっと前までランドセルをしょっていた)のともえちゃんとの恋愛物語」。第一印象は、ご多分にもれず、「はんざいだろう、それは」であった。
の、だけど、開いてみたら可愛らしい絵柄もあってか特に不快感はなくするすると読めた感じ。いや、まあ、黒瀬くんの行動はいちいち犯罪スレスレっていうか正直アウトなものばっかだったんだけど。
以下、ちょっとだけネタばれ感想。
◆
・物語は、二人の出会い→ヒロインに惚れた主人公がすったもんだ→告白→すったもんだ→ハッピーエンドの、恋愛物語の王道テンプレート。そこに、干支一周超の主人公とヒロインの年齢差がスパイスとして加味されていると言う。主人公とヒロインにそれぞれセコンドとしてついている役どころの人が居て、その人たちが年の差について至極真っ当な意見を述べているのだけど、当人たちはそーゆーのは一切関係なくマイペースに関係を築いていくと。物語が進むにつれ、最初は否定的だったセコンド役達がそんな二人の関係を認めていく筋は、障害や周囲の反対を当人たちの行動で押し返す、というこれまた王道の展開にカテゴライズされるのかな。導入の設定で驚かされるけれど意外や真っ当な恋愛物語なのかも知れない。
・ひとむかし前は純愛で通っていた行動が、今のご時世だとただの犯罪にしか見えないよねー、的な話も垣間見えてて面白かった。惚れた子ともう一度会うために、制服から通っている学校を特定する→校門前で待ち伏せする、という流れはひとむかし前のラブいコメディなら許された展開のように思える。現実にやったら即刻ポリスのお世話になるけど。劇中でもなったけど。
・ヒロインのともえちゃんがいい感じに非実在な感性の持ち主。黒瀬くんの行動に対する反応は、どう考えてもともえちゃんのそれよりか黒瀬くん自身がネガティブに妄想しているものの方が一般だよ。一度会っただけのおじさんが校門前で張っていたら普通ポリスに通報するよ。しなかったばかりか、心配して交番まで探しに来てくれたけど。これは彼女の感性あってこそのラブコメか。
・お話は中学生になりたてで、恋のなんたるやを理解できていなかったともえちゃんが、高校3年生になって黒瀬くんに対する気持ちをきちんと恋と認識(?)した所でおしまい。中学1年生の夏から高校3年生の冬までが作中でショートカットされていて、ほら、ともえちゃんも大きくなったんだし、本人も自分の考えで相手の事を好いてるんだし、問題ないでしょう?的な終わりにしているのだけど、いや、騙されませんよ?
・ともえちゃんがいい子過ぎて、読者の僕としては黒瀬くんに共感してともえちゃんに惚れる、と言うよりかは妹か娘にしたい気持ちにかられてしまった。兄貴か親父になって、うちの妹/娘は貴様になどやらん!と黒瀬くんを一括したい、みたいな。あれなんか腐ってやがる。
・エロゲ制作会社のプログラマ、もっさり頭、近寄ると動物みたいなにおいがする、なるもろもろの黒瀬くんの設定が、即、脳内にソリッドな像を結ぶあたり、僕は彼よりの人生を送っているのだなあ、等と今更しんみりと感じいってしまった。
PR