ランゲージランゲージ様の冬コミ新刊、「終末の週末」の感想です。ネタバレ上等なので未読の方は通販サイトで冊子をご購入の上ご覧下さい(CM
◆本編絡み語り 不均一に流れる時間、奏の目覚めに付きまとう痛み、翔子が腹部に手を添える理由、姉妹が患った病、奏にとっての「現実」、二人が同志Tを追悼する意味、鮮明な病院描写と曖昧なオフィス描写、そして作中作品である「真夜中の人形師」。一般的ではないけれども穏やかに過ぎていた姉妹の週末に意味深に、或いはさらりと組み込まれていた諸々の情報が「偽の世界の週末」という一つの線としてつながる、物語の転換点で受ける衝撃がとても熱いお話でした。何と言うか、
ヤンデレヒロイン二人のいちゃいちゃ週末デート話かと思って油断していたらこれだよ!みたいな衝撃。
特に作中作の「真夜中の人形師」とのリンクが面白くて、奏が翔子の描いたその物語を通して感じたものを、僕も「終末の週末」で感じたと言う。「真夜中の人形師」で作品世界のからくりが説かれたタイミングで表紙に描かれた絵の意味が溢れてきたように、「終末の週末」も世界のからくりが明らかになることで表紙に描かれたキーワードの意味が溢れてくる感じで。
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この転換点から物語は虚実入り乱れた多重世界モノとして展開していくのだけど、もう一つの世界の存在が中盤まで隠されていた分、純粋な多重世界モノの物語と言うよりは最近多く見られるホンモノ/ニセモノを扱った物語に近い印象。ホンモノ/現実だと思っていた世界が実はニセモノ/虚構の世界だったのだけど、その世界で受け取ったモノに果たして意味はあるのか?と問いかける系の。
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エンディングは奥付で相羽さんも言及していたように、少ない理解者であった父と姉が互いに殺し合い、奏一人だけが残された、と「一般的」に考えればバッドエンドなのだけど「一般」から「違い」続けると誓った奏にとってはそうでは無いのかも知れない。奏自身がそう感じているようにそもそもエンディングですらなくて、「虚構の世界」で父母や姉から受け継いだ色を元に「現実の世界」に戦いを挑むことを決めたビギンズナイト、そんな感じの終わり方だったから、寂しさはあっても読後感がよかったのだろうなぁ、とか思ったり。
◆その他細々・赤と青の二振りのナイフ、容姿、ヤンデレ属性と、姉の翔子は夢守教会の巫和さんのリボーンキャラなのだろうか。やたらと百合百合しているのは教会サイドで教祖さまにぞっこんな反動だろうか。いいぞもっとやれ(えー
・でもその制服はセーラー服のカテゴリーから外れていると思います!(笑
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