◆短編なので 言葉なんて要らないぜ。ただ感じてくれって感じで終わったスターゲイザー。短編でまとめる都合上、余計に時間の食う対話パートがガッツリ削られてしまった感じですが方向としてスウェンの浄化が入っていたので満足といえば満足です。
ラスト、スターゲイザーが金星の軌道から地球圏への帰還に要した時間がセレーネの試算したタイムリミットを若干上回っているところから果たして二人は生きて帰ってこれたのかどうかという話が出てますが、個人的にはここはどうでもいいです。スウェンに与えられた救いは地球圏への帰還よりも必要としてくれる誰かに気付けたことだと思うので。
むしろ個人的には寄り添って帰ってきたスウェンとセレーネ相手にソルがどんなリアクションを返してくれるかの方が気になります。超にっこりして失礼ですが貴方うちのセレーネとどういった関係ですか、みたいな小姑展開を所望。
◆青い鳥 的話が今回の短編でスウェンに用意された救いなのかなぁ、と。一話のエドの台詞に引っ掛けるのならば、「横を見て羨む人」にも他の人に見られたら羨まれるようなものを持っているじゃないか、みたいな。
スウェン自身はエドの台詞の中にあった「下を見て安心する人」「横を見て羨む人」「上を見て自分を高める人」のどれでもなくて、両親の事故死をきっかけに「見る」ことすら放棄している人っぽいイメージ(諦観スタイルだし)ですが。
SEEDシリーズ、特にDESTINY以降で作中で最も悲劇的なポジションであった強化人間然りエクステンデッド然りの道具として使われる軍人たちであっても気付いていないだけで、目を伏せているだけで、身近に大切なものを持っている(或いは持っていた)、というか。
スウェンに限って言えば。両親を失った直後に淡々と事務的に自分を軍施設に受け渡したと思っていた施設の人はこれからの境遇を察してくれたのか、それとも自分の力が及ばずに年端もいかない子供を軍に売り渡すような結果に終わってしまったことを悔やんでか涙ながらに自分を送ってくれていたし。厳しいばかりだと思っていた教官は強化人間に適した素材を探しに来た(?)アズラエルの、地球連合側の当時の権威の胸倉をつかんででも彼をその道から遠ざけようとしてくれていたし。仕事だけのパートナーだと割り切っていたミューディーやシャムスは、何よりも、かけがえの無い仲間だった。
だから誰かと比べて誰かを羨み自分を蔑み、「見る」ことを放棄すべきではなかった。周りにあったそう言った大事なものを見据えて更にその先、「上を見上げる」べきだったのだ、みたいな。そういったことにスウェンが気付けたのがラストの回想だったのではないかなぁ、と。そしてそれが彼に与えられた救いだったんじゃなかろうかと(それら全てを失ってから気付いたのはどうしようもない皮肉なんだけど)。
そして、この短編においては本当に。戦争だとか世界情勢だとかそう言った大仰なものの行方とか
下手な言い方をしたらガンダムの存在すらどうでも良くて、それよりも。このスウェンに与えられたちっぽけな救いこそが話のメインだったんだなぁ、と感じたわけで。
そう考えると、やっぱり一話のエドのあの台詞は熱すぎだと思いましたよ。つーか、良かった。セレーネの中にエドの想い出が残ってて、本当に良かった。最後の最後で彼女の口からきちんとエドの存在が出てきて良かった。最後までスルーされたら、僕、あの世のエドを想って涙酒を飲むところだった。恋なんて所詮恋したほうの負けだよなぁ、みたいなノリで。
以下まあ、色々とお約束なツッコミ。
◆スターゲイザー発進!ってええええ! 非戦闘用モビルスーツじゃなかったんですかと小一時間。まあ、非戦闘員が自分達の庭を守るために戦場に赴くのは王道の燃えどころなのですが。
と言うかスターゲイザーが非戦闘用だって所は、まあ、置いといて。研究者の操るモビルスーツが職業軍人の駆るモビルスーツ相手にあそこまで張り合えたのはどういった理屈ですか。そっちの方が気になった。スターゲイザーに搭載されたAIユニットのサポートのお陰って話?
◆どうでもいいツッコミどころ 冒頭。セキュリティロックを解除するパスワードがあまりにも簡単すぎます。パスワードは生年月日やぞろ目などわかりやすい数字を避けて設定しましょうってどうでもいいなこれ、ホント。
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