なんだかんだで公開からもうひと月も経ってしまいましたが。
Language×Language様の看板作品、夢守教会第三話の感想です。いつもの通り、ネタバレ上等!な内容なので未読の方は
こちらで作品を読んでから続きを読んでください。
◆映認 ま、まさか前回ちらっと出てきた「映認」ってキーワードがとんでも能力の名前だなんて思わなかったんだぜ。
理子の「映認」は認識強化の能力と描写されてますけど、理子は(というか弓村は)常にこの能力を使っているわけじゃなくて、祝詞なるキーワードで起動にロックをかけているんですよね。これが何故かと考えてみると、まぁ、能力オープンの段階で呪文みたいなのがあると
燃えるよね☆とかいう考えが真っ先に浮かぶんですが、それを押し込めて真っ当に考え直してみると超常の能力で自分の身を滅ぼさないため、みたいな話になるわけですよ。
2話の感想で優希の過剰エンパシー症は制御されていない超能力の類なんじゃなかろうか、みたいな事を書きましたけど、3話を読んでその妄想がさらに補強された感じです。そう、実は優希の過剰エンパシー症は制御されていない「映認」或いはそれに属した能力だった、みたいな感じで。
「映認」の制御には祝詞の他に弓村に代々引き継がれている「炎輝姫」なる弓矢の心象イメージが必要、とされてますけど、その矢を受け継いでからの優希は自身の体質をある程度コントロールできていますし、妄想といいつつそうそう的の外れた話じゃないよなぁ、とか思ってます。
◆破認 「映認」の対となるリューシの「破認」。こちらは他者の認識を阻害し、相手の認識から自分を外す能力とされてますが、先の優希の事例を考えてみるとシーモアグラスの言わば、「認識されない病」も制御されていない「破認」と見えるんですよね。
そうなると、理子から能力制御のためのキー(炎輝姫の矢)を受け継いだ優希が「過剰エンパシー症」なる病を克服しかけてるのを見るに、リューシ、わざわざ世界をぶっ壊さなくても自分の中の氷雪の刃を渡せばシーモアさんを守れるじゃん、みたいな話に。
YOU、もうシーモアさんをハグしてちゅーしちゃいな☆みたいな。いや別にそれが継承の儀式ってわけではないですが。
◆巫和のポジション 当人が意図してやっている/やっていない、それによって当人が苦しんでいるか否か、という点は一先ず置いて、「見える」「見つける」パラメータを持つ人間が集まる夢守教会、「隠す」「隠れる」パラメータを持つ人間が集まるブレイン教会、と教会ごとに特色が出てきたのですが、その中で。他人の痛みが「見える」巫和が「隠れる」サイドのブレイン教会に居るのが今後の展開の仕込みに見えました。
上記のパラメータ以外にももうひとつ二つの教会、というよりは教祖である理子とリューシを分ける対立項として、彼女らを規定する「紅蓮」と「氷雪」と言う真逆なイメージがありましたけど、巫和がメインウェポン(笑)としてこれらを象徴するかのような赤と青のナイフを両手に持っている所も気になるところ。これは巫和がまだニュートラルな立ち位置(いや、今回、夢守の教祖さまとガチバトルしてましたが)だという比喩なのか、それとも巫和は「隠れる」パラメータを持つリューシを救うポジションにいる「見つける」キャラクターなのか。
3話エピローグで自罰・他罰の意味を失ったその2つの色にそれぞれの教会の意思を付与して、最終話近く、苦しみの果てにそのどちらかを選択、とか。そのどちらかの色(手)で誰かに救いの手を差し伸べる・誰かの救いの手を受ける、とか。そんな展開が待っていたら多分僕は泣く。
◆この世でもっとも確かなもの 作中では「模造」をネガティブにとらえる視点が多く存在するけれど、それは違くて。「既存」から「模造」が産まれるその過程、「既存」から「模造」が産まれるという構造そのものに意味がある。そしてこの世でもっとも確かなものは「既存」から「模造」に受け継がれる「何か」なのだ、というのがテーマなのかなぁ、と、思います。優希の中に生まれた理子の矢、という展開から。
その筋から無謀にも作中クライマックスを予想してみると、表クライマックスは理子から「炎輝姫」のすべてを受け継いだ優希の「映認」(祝詞なしバージョン)発動バトル。裏クライマックスは理子が亡くなり数年が過ぎて、全てが思い出に変わったころ。菖蒲さん経由で受け継がれた祝詞で真に開放された「映認」が優希に見せる雪景色。とかかなぁ。
◆その他・理子と巫和とでダブルヒロイン構成、との事ですが、リューシもまた優希とは違った主人公属性(キミのために世界を壊す、とか思いっきりセカイ系主人公)持ってるんでダブルヒーロー構成でもあるのかなぁ。というかダブルヒーローなんて言葉あるんだろうか。
・理子が輝きの先に見た少女の正体を読みきれず。娘…は今から優希との間にもうけるには日数足りないですし、今までそんな感じの話もなかった(今回伴侶が云々のところで少し気になる描写はありましたが)ので既に子持ち、てわけでも無いと思うのですが。うーむ。
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