後期も始まって半月。現在学部3年生の人やら修士1年生の人やらはそろそろ就職活動を意識し始める頃でしょうか。意識はしていたとしても何をしたらいいのか解らない時期でしょうか。
最初はそんな悩める子羊たちに「こんな感じでも内定もらえたよ」と救いの手を差し伸べようと始めたつもりがいつの間にか不安を植え付けるような内容になってしまった就職活動後記です。うん、実話故の弊害。
今回は迷った時は原点に戻ってみようと言う話。すごく長くなってしまったので、尿意のある方はまずトイレに行ってからの方が良いと思います。
例えばパソコンを作ろうとした場合。CPUやマザーボードやHDDやメモリやディスクドライブや・・・と言った様々なハード的な知識・技術が必要になるし、それらを駆動するための基礎的なプログラムの知識・技術も必要になるし、それらをユーザーが使いやすいようにするための表層的なソフトウェアの知識・技術も必要になる。
勿論、本当に一から作ろうとした場合にはハード/ソフトウェアを構成するための知識だとか、ハードウェアに使う半導体部品を始めとした各種部品自体を扱う知識やそれ自身の製造に関する知識と言ったものも必要になるし・・・とキリがない。
本当に、何かを『ツクル』ためには途方も無いほどの量の知識や技術が必要となるし、誰かに作られた『モノ』はその結晶なのだと思う。
兎に角、こう言った『モノ』を『ツクル』ことに携わる人は大勢居て、今現在、それを担う業界は『ものづくり』と言う言葉でカテゴライズされている。そして、僕はそれに魅せられて今ここに居るわけだ。
人間の脳みそだってロマンの無い言い方をしてしまえばただの物質なんだから、当然、容量がある。さらに夢の無い言い方をすればその容量の個人差が凡と非凡を分ける線のひとつになっている。だから、これだけ広大な『ものづくり』のフィールドの全てを(或いは広範囲を)識ることのできる人なんてのはかなり稀有な存在で、大体の人は自分の得意な或いは好きな何かを選んで、それを学んで磨いていくのだ。
当然、僕も後者に分類される人間になる。
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前回の後記で毛色の違う会社の間で揺れていた、みたいな事を書きましたが、つまるところは自分にとっての『ものづくり』って何だろうってビジョンが曖昧だったって事なんですよ。結構猫のように色んなところに興味が向く人間なもんで、頭の中に引出しはいっぱい持ってるんですが、どの段を埋めるのが一番自分が得意/好きなのか、今一理解できていないと言うか。
具体的に言えば、迷っていた会社の属性は二つ。ソフトウェアにバリバリ特化した会社か、ハードウェアを組み上げる会社か。
全然違う分野なんですがね。中学を卒業してからこっち、ロボットの製作に携わってきた自分としてはどちらにも馴染みがあったもので、そのどちらかに携わる仕事をしたいなぁ、なんてあやふやな事を考えていたのが種になって、まあ、来るべき時に然るべき花を咲かせてしまったと言うか。
最初の面接で撃沈。だったのに、一次通過の知らせで精神的に轟沈。その会社に二次に進むのに少し余裕を貰って参加したその他の会社の社内説明会も気が入らないままなぁなぁに過ごしてしまう始末。
このままじゃ拙い、一度気持ちをリセットしなくちゃ、と思い、原点回帰のつもりで個別の社内説明会に足を運ぶようになってからは疎遠になっていた合同説明会の会場を見てみることに。今思えばかなり現実逃避入ってたなー、と思いますよ。これ以上選択肢を増やしてどうするよ、みたいな。
でも人生って解らないもんで、そんな逃避の為に偶然足を運んだ会場に、現状を打破する答えが待っていたわけで。
最初は某有名企業の説明ブースに何気なく足を運んだだけ。それだけだったのですが、配布された資料にその会社がいくつかの分社と言うか系列の会社を持っていることが書かれていたんです。
まあ、比較的大きい会社なんだからそんなこともあるだろう、と思ってそれでも最初のうちは流して見ていたんですがね。で、少し気になっていたのか、家に帰ってから調べてみたらそのうちのひとつの業務内容が・・・正に自分の求めている内容だったんですよ。
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元々、僕はロボットが好きで、当然見てくれやそれを動かすアクチュエータがギュンギュン言っているところを
見るだけできゅん☆きゅんできる危ない人なんですが、作ることを考えた場合何が好きかって話になると、それを統括・制御する部分になるわけで。
言ってしまえば、機械屋さんがフレーム―つまり骨―を組み上げて、アクチュエータ―つまり肉―を組みこんで作り上げたその身体を動かすコントロール部分―つまり、脳―を作るのが好きだった。ロボットの形や、仕事の内容や、そう言った見てくれに合わせた機能や挙動制御の組み込み、つまり個性をロボットに吹き込んであげることが好きだった(だからロボ好きの癖にロボを作る企業にエントリーしなかったのかも知れないです)。
ハードウェアの技術は脳みそそのものを組み上げるために身に付けたものだし、ソフトウェアの技術はロボットに魂とか精神とか、そう言ったものを与えるために身に付けたものだった。
だから、僕が本当にやりたかった『ものづくり』って言うのはハードだとかソフトだとか分かれているものなんじゃなくて、それらが渾然一体となったものだった。
本当は、随分と前から解ってはいたんです。そう言った業界がある事も知っていました。だから、そう言った事をやらせてくれそうな企業を探して、そして、その会社がたまたまハードとソフトにそれぞれ寄った会社だっただけ。
「就職をしなくちゃいけない」と言う脅迫観念や、周りが徐々に帯びてきたあせりやそう言った色んなものに惑わされて、いつの間にか自分のやりたい事が見えなくなって、選択肢だけが残ってしまっただけ。
だから、その業界の仕事をやらせてくれそう、ではなくてその業界の仕事を業務にしているど真ん中ストライクな会社の存在に気づけなかった。言葉にしてしまえばただの調査不足。恥ずべき無知。
でも、何の因果か偶然か、僕の目の前にはまさにその系統の会社の情報があって、その会社に入社する道も(なんだかんだでまだ4月にもなっていない頃だったので)当然ある。もう、迷わずすぐさま近日の説明会へエントリーしましたよ。
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フライングで話してしまえば、このとき見つけた会社が僕が4月から通うことになる会社です。
この会社を見つけた時は正に原点回帰。気づかないうちに、いつの間にか『できること』の観点で行っていた就職活動が『やりたいこと』の観点での就職活動に戻った感じでした。
結果として12月ごろから懇意にして頂いた会社の方々を裏切る形にはなってしまったのですが、その話はまた次にでも。
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