全てが終わった後の、人生からの卒業式的最終回。前回のラストで未練を払拭して、かつ今回までに音無、日向、直井を除いた面子が成仏していた事からリーダーと言う重責からも解き放たれてで、最終回にして歳相応の少女的リアクションを見せるゆりが新鮮だったけれど、それ以上にかなでの天然キャラの披露の方が衝撃だった。えっへん、とか、胸を張るシーンがツボだった。えっへんてなんだよ。えっへんて。
最終話のサプライズとして残されていたのは、かなでが正ヒロインだったと言う事(音無のかなでへの感情は妹に対するそれだと思ってたよ…)と、音無とかなでの繋がり。
かなでは絶命した音無の心臓で生き永らえる事が出来た少女だったと。その設定だけで音無の名前の意味が、心「音」が「無」い、誰かに命を「ゆずる」選択をした少年、として綺麗に解釈出来るし、タイトルのAngel Beats!も天使の打倒を意味するものではなくて天使が「かなで」る、心音を意味していたと解釈出来ると言う。ずっとパルスをモチーフとしたラインがでてたしなぁ。気づかなかったのが悔しい。
ラストは悲恋のムードがあったけれど、とかく「ありがとう」を誰かに言ってもらいたくて大勢の人間に愛を与えてきた少年と「ありがとう」をその少年に伝えたくて死後の時間を延長してきた少女の組み合わせで終劇と言うのは綺麗で良かった。エンディングの後に入った、ほんの少しの救いのシーンも良い。あの後、音無(生まれ変わり)にいきなり話しかけられて、え、何このヒト、いきなりキモいんですけど、と、かなで(生まれ変わり)がポリスに通報する流れになる可能性は考えない。
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前回の話だけではよく解らなかったけれど、影を操っていた黒幕は、音無のIF的存在だったんだろうなぁ。かなでが去った後に音無が世界に残り続けた結果が彼だったと。誰かへの愛のために残り続ける事を選んだのだけど、それは途方もなく苦しい選択だから、自分と同じ人間が現れてこんな目にあわないように世界に愛が芽生えたときに起動する危機回避プログラムを残したと(これもまた、ある意味では他者への愛だけど)。そんな感じの。
そして、ふと思ったのは、かなでは黒幕が耐えきれなかった時間を耐えて、願いが叶うのを待ち続けた少女なのかなぁ、と言う事。と言うのも、この世界への音無とかなでの到着順=死亡順が逆な事、心臓が移殖されてから青春を謳歌する時間が生前のかなでにあったらしい事が引っかかっているからなのだけど。
音無の前世がかなでに心臓を提供、かなではその感謝を伝えたくて死後にこの世界に迷い込む、生まれ変わった音無は曲折を経てまた誰かに心臓を提供、記憶を失ってこの世界に迷いこむ、とかそんな流れ。
全くの妄想だけど、もしもそうだとしたら、この世界へ残らないか?と提案をした音無に淋しげな表情を向けたシーンの切なさが倍増する事に。
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最終回まで見て思った事は、なんかギャルゲーの1ルートを1クールかけてやったような作品だなぁ、ということ。今回は正ヒロインのかなでルート。分岐フラグは1話ラストで肉うどんにすぐ手をつけなかったこと、みたいな。岩沢さんルートは難しいな。彼女、すぐに成仏しちゃうしな。
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